涼蔭随想
                               北澤 邦子


 ここは八ヶ岳の中腹、松林に囲まれたみあきさんの山荘です。木々をわたる風の音と時折聞こえてくる鳥の鳴き声が、静寂を破るだけ。そんな静けさの中でフッと思い出した言葉があります。それは、数年前私たちが訪問したノルウェイで出会ったお父さんの言葉、「キャリアとは家族や人生を含めたすべて。」

 この数年、ドドッと仕事にのめり込んでしまった私。子どもも夫もそれぞれの生活に忙しい事が幸い(災い?)してか、自宅にいる時間は一日に8時間程度。時には家にまで仕事を持ち帰りパソコンのキーを叩いている始末。週末でさえ家事をそそくさと済ませ、気付いてみればオフィスに来ている。何しろ仕事が楽しい! やればやっただけの成果がある! でもちょっと待って。これって「会社"命"のおじさんのライフスタイル!」「それがあなたの望んだ人生?」 

 「仕事も家庭もどちらも欲しい、どちらもかけがえもなく愛しい」そう言いながら職場における男女の機会均等を目指してきた30年。雇用機会均等法・育児介護休業法・男女平等法と法的整備が整い、社会的にも制度化が進められてきた。我が家の子どもたちももう一人前。近頃では、親がたしなめられる事もしばしば。家庭負担の比重が少なくなった今、確かにキャリアの質が変わってきたような。社会的にも労働環境の点でも私たちの負担が一層少なくなってきた。これからは自らを豊かに、そして社会を心豊かな社会にして行こう。そうした時間的余裕と精神的余裕が持てるはず。

 「キャリアとは家族や人生を含めたすべて」 だから自己責任。幸せになるのも不幸せになるのも私たちの想い一つ。やりたい事、なりたい人を目標にしてさぁキャリア・アップ!